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象牙・翡翠・珊瑚の骨董品は今も売れる?規制と買取可否の基礎知識

象牙・翡翠・珊瑚

象牙・翡翠・珊瑚の骨董品は今も売れる?規制と買取可否の基礎知識

蔵や仏壇の引き出しから、象牙の根付、翡翠の帯留め、珊瑚のかんざしが出てきた。この三つは骨董の世界でひとまとめに語られることが多い素材ですが、法律上の扱いはまったく違います。結論から言えば、翡翠と珊瑚は通常どおり売買できます。一方、象牙だけは種の保存法という法律のもとで手続きが定められており、扱える業者も限られているのが実情です。ここを知らないまま「規制があるらしいから」と処分してしまう例が後を絶ちません。逆に、正しい手順を踏めば売却できる品を、違法な形で手放してしまうリスクもあります。この記事では、三つの素材それぞれの規制の実情と、手元の品を手放すときに何を確認すればよいのかを整理していきます。なお制度の詳細は改正されることがあるため、最終的な確認は登録事業者や所管の窓口で行ってください。

三つの素材で規制の有無はまったく違う

同じ「自然由来の素材」でも、国際的な保護の対象になっているかどうかで扱いが分かれます。まず全体像を押さえておきましょう。ここを取り違えると、必要のない手続きを心配したり、逆に必要な手続きを見落としたりすることになります。

素材 規制の有無 買取の可否
象牙 種の保存法による規制がある 登録を受けた事業者であれば可能
翡翠 取引の規制はない 通常どおり可能
珊瑚 一部が国際取引の制限対象 国内での売買は一般に可能

象牙は法律で扱いが定められている

象牙はワシントン条約により、国際的な商業取引が原則として禁止されています。日本国内では種の保存法がこれを受けて制度を組み立てており、扱いには決まった手続きが必要です。ポイントは、象牙が二つの区分に分かれていることでしょう。ひとつは全形を保持した象牙、いわゆる全形牙です。もうひとつは、それを切り分けたカットピースや、印材・根付・彫刻といった製品にあたるものになります。この二つでは求められる手続きがまったく違います。家庭にあるのは後者、つまり製品であることがほとんどでしょう。床の間に飾られた一本の大きな牙なら前者、判子や帯留めや置物なら後者です。まずは手元の品がどちらに当たるのかを見分けるところから始まります。この区別さえつけば、あとの話はそれほど複雑ではありません。

翡翠に取引規制はない

翡翠はワシントン条約の規制対象ではありません。骨董の帯留め、勾玉、彫刻、指輪。いずれも通常の美術品・宝飾品として売買できます。象牙と並べて語られることが多いために「翡翠も何か規制があるのでは」と心配される方がいますが、その必要はないと考えてよいでしょう。むしろ翡翠は、質による価値の幅が非常に大きい素材です。同じ緑色でも、透明感のあるものと不透明なものでは評価がまるで違ってきます。骨董として蒐集されてきた歴史も長く、日本では帯留めやかんざしといった和装小物に、中国では彫刻や玉器に用いられてきました。規制を気にするより、質を正しく見てもらうことのほうが大切な素材だと言えます。緑色の石がすべて翡翠とは限らないという点にだけ、注意しておいてください。

珊瑚は国際取引に制限がある

宝石として使われる珊瑚のうち、一部の種はワシントン条約の附属書に掲載されており、国境をまたぐ取引には手続きが求められます。ただしこれは輸出入の話であり、日本国内での売買が禁じられているわけではありません。かんざし、帯留め、ブローチ、根付、数珠。国内の市場では通常どおり取引されています。海外へ持ち出す予定がある場合や、海外の買い手へ直接売ろうとする場合には確認が必要になりますが、国内の買取店に持ち込むぶんには支障はないと考えてよいでしょう。日本は宝石珊瑚の主要な産地のひとつでもあり、土佐をはじめとする海域で採られたものが工芸品として受け継がれてきました。国内に厚い市場があるということは、買い手を探しやすいということでもあります。

「規制がある=売れない」ではない

ここまでを整理すると、手続きが必要なのは三つのうち象牙だけです。そして象牙についても、禁じられているのは無条件の売買であって、定められた枠組みのなかでの取引まで否定されているわけではありません。「規制品だから捨てるしかない」という思い込みが、いちばん避けたい結末です。象牙の彫刻や根付には美術品としての評価があり、正規の手続きを踏める業者であれば買い取れます。実際、明治から昭和にかけて作られた牙彫は、細密な仕事として国内外に愛好者がいる分野です。判断を自分で下さず、まず扱える相手に見せる。この順番を守ってください。処分してしまえば取り返しがつきませんが、相談するだけならいつでもやり直せます。

象牙を手放すときに知っておくこと

象牙については、他の骨董品にはない確認事項があります。難しい話ではありませんが、順番を間違えると手続きが進みません。

全形牙と製品では扱いが違う

全形牙とは、切断されていない一本の牙のことです。床の間に飾られていたような、湾曲した大きな牙を思い浮かべてください。これには登録の制度があり、登録票が交付されていれば譲渡が可能とされています。ただし審査は年々厳しくなっており、新たに登録を受けるのは容易ではありません。一方、印材、根付、彫刻、箸、三味線のバチといった製品は全形牙にあたりませんから、個人が所有し、登録を受けた事業者へ売却することができます。まず手元の品がどちらなのかを確かめましょう。大半の家庭にあるのは製品のほうです。判断に迷う形状のもの、たとえば大きく切り分けられた素材のような状態のものは、自己判断せず事業者に写真を送って確認してもらうのが確実でしょう。

登録票があるかを確認する

全形牙の場合、登録票という書類の有無が決定的になります。桐箱や台座に一緒に納められていることが多く、古い紙のまま抽斗の奥に眠っているケースもあるでしょう。見つかったら、絶対に捨てないでください。この書類がなければ、その牙は正規のルートで動かせません。逆に登録票が揃っていれば、扱える事業者のもとで手続きを進められます。書類が見当たらない場合でも、まずは事業者に相談してみてください。過去の登録記録から確認できる道が残っていることもあります。相続で受け継いだ品は、前の所有者の名義のままになっていることが多く、名義の扱いについても事業者が案内してくれるはずです。書類まわりは面倒に見えるものですが、逆に言えば書類さえ揃えば話は前に進みます。

買い取れる業者は限られる

象牙のカットピースや製品を業として売買するには、特別国際種事業者としての登録が必要です。つまり、どこの買取店でも扱えるわけではありません。登録を受けた事業者には取引の台帳を記録し保存する義務が課されており、制度として管理されています。一定以上の大きさの製品には管理用の票を作る決まりもあり、事業者側の手続きは想像以上に細かいものです。持ち込む前に、その店が象牙を扱えるかどうかを電話で確認しておくと二度手間を防げるでしょう。「象牙は買取対象外です」と断られるのは、店に問題があるのではなく、単に登録をしていないというだけの話です。断られても気を落とさず、次を当たってください。

個人間の売買は避ける

フリマアプリやネットオークションで象牙を売ろうとするのは、やめておいたほうが賢明です。プラットフォーム側が出品を禁じている場合が多く、規約違反として削除される可能性があります。加えて、制度上の手続きを個人で完結させるのは現実的ではありません。手間を惜しんだ結果、思わぬ違反を招く恐れがあります。買い手を装った相手に安値で引き取られるといった話も、この分野では聞かれるところです。登録事業者に持ち込めば、必要な記録は事業者の側で処理されます。安全に、かつ適正な評価で手放すなら、正規のルートを通るのが結局いちばん早い方法でしょう。急がば回れ、という言葉がそのまま当てはまります。

翡翠と珊瑚の価値はどこで決まるか

規制の話が済んだら、次は価値の話です。この二つは骨董としても宝飾品としても市場があり、見られるポイントがはっきりしています。

翡翠は色と透明度で分かれる

翡翠の評価を大きく左右するのは、色の質と透明度です。深く均一な緑で、光を通したときに濁りのないもの。この条件を満たすものが最上位とされます。反対に、色が薄い、白っぽい部分が混じる、光をまったく通さないといった場合は評価が下がるでしょう。骨董の帯留めや根付では、彫りの技術も加味されます。細かな透かし彫りや、石の色の変化を活かした構図は、職人の腕が問われる仕事です。ここで注意したいのは、素人目には見分けがつきにくい類似石が数多く出回っていることでしょう。緑色の石がすべて翡翠とは限りません。染色や樹脂を含浸させた処理品もあります。自分で判断せず、鑑別も含めて相談するのが確実です。

珊瑚は色と大きさ、そして無傷であること

宝石珊瑚は色によって呼び分けられ、濃い赤の血赤と呼ばれるものが最上位に位置づけられます。桃色、白と続き、それぞれに需要があるでしょう。大きさも重要で、まとまった塊から作られた品ほど評価が高くなります。珊瑚は成長が非常に遅い生き物ですから、大ぶりの無傷な材そのものが希少です。そしてもう一点、珊瑚は割れや欠けに弱い素材でもあります。小さなヒビでも評価に響きます。かんざしや帯留めのように細く加工されたものは特に注意が必要でしょう。落とさない、ぶつけない、他の宝飾品と一緒くたに袋へ入れない。保管のしかたがそのまま査定額を守ります。柔らかい布で包んで、単独で保管してください。近いテーマでは骨董品の買取相場はいくら?ジャンル別の目安と高額査定になる条件も参考になるでしょう。

加工品か素材かで買い手が変わる

翡翠も珊瑚も、彫刻や装身具として仕上げられているか、原石・素材のままかで買い手が分かれます。仕上がった作品には美術品としての評価が加わり、彫りの出来や作者の有無が問われるでしょう。銘が入っていれば、それは重要な情報になります。一方、素材としての価値で見る場合は、質と量が中心になります。骨董品として持ち込むのか、宝飾品として持ち込むのか。品物によって適した相談先が変わってくるということです。和装小物としてまとまった点数があるなら、着物とあわせて相談する手もあるでしょう。迷ったら、骨董と宝飾の両方を扱える店を選んでおけば間違いありません。まとめて見てもらったほうが、全体の判断もつきやすくなります。あわせて、だるま3マガジンの民芸品とは?骨董品・伝統工芸品との違いや価値をわかりやすく解説にも目を通してみてください。

鼈甲も同じ枠組みで扱われる

もうひとつ、家庭から出てきやすい素材として鼈甲があります。かんざし、櫛、眼鏡のフレーム、帯留め。祖母の遺品に混じっていることの多い品です。この鼈甲はウミガメの一種であるタイマイの甲羅から作られており、象牙と同じくワシントン条約の対象になっています。国内で業として売買するには、象牙と同様に事業者の登録が必要とされる仕組みです。つまり、象牙を扱える店であれば鼈甲も相談できる可能性が高いということでしょう。逆に、鼈甲だけを一般のリサイクル店へ持ち込んでも、買い取ってもらえないことがあります。象牙と鼈甲は制度上ひとまとまりで語られる素材ですから、両方が家にある場合は同じ店へまとめて相談するのが効率的です。プラスチック製の模造品も多く出回っているため、本物かどうかの判断もあわせて頼んでおきましょう。あわせて、だるま3マガジンの翡翠の買取専門店についてご紹介!翡翠には骨董品としての価値がある?にも目を通してみてください。

Q&A:登録票が見つからない象牙は、もう処分するしかない?

いいえ、処分を決める前に相談してください。まず確認すべきは、その品が全形牙なのか製品なのかという点です。印材、根付、彫刻、箸といった製品であれば、そもそも全形牙の登録票は必要ありません。登録を受けた事業者へ売却できます。家庭から出てくる象牙の多くは、こちらに該当します。

全形牙で登録票が見つからない場合も、いきなり捨てるのは避けてください。書類が別の場所に保管されていることもありますし、事業者に相談すれば取り得る手立てを教えてもらえます。制度は細かく、また改正もあるため、個人で結論を出すのが最も危うい進め方です。象牙を扱う登録事業者は、この種の相談に慣れています。まず問い合わせる。判断はそのあとで構いません。

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